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東京地方裁判所 昭和48年(ワ)7702号 判決

原告

松田博信

ほか一名

被告

相山武靖

ほか五名

主文

(一)  原告湯浅篤子に対し、被告相山武夫は金七〇〇万円、同相山良子、同相山武靖および同相山武輝は各自金二三三万三、三三三円および右各金員に対する昭和四六年一一月二八日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

(二)  原告松田博信に対し、被告相山武夫は金六八〇万円、同相山良子、同相山武靖および同相山武輝は各自金二二六万六、六六六円および右各金員に対する昭和四六年一一月二八日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

(三)  原告らの被告相山武夫、同相山良子、同相山武靖、同相山武輝に対するその余の請求および同西郡寿、同小田精一に対する請求をいずれも棄却する。

(四)  訴訟費用は、原告らと被告相山武夫、同相山良子、同相山武靖および同相山武輝との間においては、原告らに生じた費用の各三分の二を右被告らの連帯負担、その余は各自の負担とし、原告らと被告西郡寿および同小田精一との間においては全部原告らの連帯負担とする。

(五)  この判決の第一、第二項は仮に執行することができる。

事実

第一当事者の申立

一  請求の趣旨

(一)1  被告相山武夫、同西郡寿および同小田精一は各自、原告ら各自に対し金一、〇五〇万円およびこれに対する昭和四六年一一月二八日から支払ずみまで年五分の割合による金員を

2  被告相山良子、同相山武靖および同相山武輝は各自、原告ら各自に対し金三五〇万円およびこれに対する昭和四六年一一月二八日から支払ずみまで年五分の割合による金員を

それぞれ支払え。

(二)  訴訟費用は被告らの負担とする。

(三)  仮執行の宣言を求める。

二  請求の趣旨に対する被告らの答弁

(一)  原告らの請求をいずれも棄却する。

(二)  訴訟費用は原告らの負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

(一)  事故の発生

1 日時 昭和四六年一一月二七日午前二時五〇分頃

2 場所 群馬県安中市郷原一、二九四番地先国道上

2 加害車 普通乗用車(品川三三さ一九一三号、以下「甲車」という。)

運転者 訴外亡相山武章(以下「亡武章」という。)

同乗者、訴外亡湯浅蓉子(以下「亡蓉子」という。)

3 加害車 大型貨物自動車(習志野一な三五三号、以下「乙車」という。)

運転者 被告小田精一

4 態様 本件事故発生地点に駐車中の乙車に高崎方面から軽井沢方面に向けて進行中の甲車が追突した。

5 結果 右事故により亡蓉子は即死した。

(二)  被告らの責任

1 被告相山武夫(以下「被告武夫」という。)は、甲車を訴外三和自動車株式会社から所有権留保付で買い受けて自己のため運行の用に供していたものである。

2 亡武章は、甲車を実父被告武夫から借用して自己のため運行の用に供していたものであるところ、同人も本件事故によつて死亡したので、同人の妻である被告相山良子(以下「被告良子」という。)、子である被告相山武靖(以下「被告武靖」という。)および同相山武輝(以下「被告武輝」という。)が、法定相続分に従い、亡武章の責任を三分の一宛相続した。

3 被告小田は、乙車を運転して本件国道を高崎方面から軽井沢方面に向けて進行中、燃料に不足を来し、同車を駐車させる必要を生じたが、このような場合自動車運転者としては、車両通行の多い国道上での夜間駐車は避け、安全な場所に駐車させるべきであり、やむなく国道上に駐車させる場合においては、他の車両の通行の妨げとならない位置で、かつその駐車位置を他の車両に十分認識させるに足りる駐車灯を点灯して駐車すべき注意義務があるのにこれを怠り、同車を進行方向の車両左側端から道路左側端までの距離が五〇糎の位置に無灯火で駐車させた過失により本件事故を惹起したものである。

4 被告西郡は、乙車を所有し自己のため運行の用に供していたものである。

(三)  原告らの損害

1 亡蓉子の逸失利益と原告らの相続

(1) 亡蓉子は、昭和二〇年九月二日生れで、本件事故当時月収金二〇万円を得ていたものであるところ、本件事故に遭遇しなければ、六〇才まであと三四年間は右収入を得ることができたので、生活費として収入の三割を控除し、中間利息を控除すると、逸失利益の現価は金三、二八五万〇、三八四円となる。

(2) 原告松田は亡蓉子の父であり、同湯浅は同人の母であるところ、同人には他に相続人がないので、原告らは、それぞれ右逸失利益の二分の一にあたる金一、六四二万五、一九二円を相続した。

2 慰謝料

亡蓉子は、原告らの唯一の子であるところ、最愛の子を失つた原告らの精神的苦痛は大であり、これに対する慰謝料としては、各金二〇〇万円が相当である。

(四)  損害の填補

原告らは自賠責保険から各金二五〇万円の填補を受けた。

(五)  結論

よつて、原告らは各自、被告武夫、同西郡および同小田各自に対し、金一、五九二万五、一九二円を請求しうるところ、本訴においては内金一、〇五〇万円、被告良子、同武靖および同武輝各自に対し、金五三〇万八、三九七円を請求しうるところ、本訴においては内金三五〇万円および右各金員に対する本件事故発生の日の翌日である昭和四六年一一月二八日から支払ずみまで、民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する被告らの答弁

(一)  被告武夫、同良子、同武靖、および同武輝の答弁

1 請求原因(一)の事実を認める。

2 同(二)のうち、1および2の事実を認める。

3 同(三)の事実は不知。

4 同(四)の事実を認める。

(二)  被告西郡および同小田の答弁

1 請求原因(一)の事実を認める。

2 同(二)のうち、3の被告小田の過失を争い、4の事実を否認する。被告西郡は、本件事故当時すでに乙車を被告小田に売却ずみであつて、登録名義だけが残つていたにすぎない。

3 同(三)の事実は不知、慰謝料を争う。

4 同(四)の事実を認める。

三  被告らの主張

(一)  被告武夫、同良子、同武靖および同武輝の主張

亡蓉子は、本件事故の前日である昭和四六年一一月二六日午後一一時頃訴外亡小一原映子および同亡波田野忠夫らと、亡武章に対して、同人が同日の昼間横浜カントリークラブの仕事に従事していて疲労していること、および同人が翌二七日午前八時に同カントリークラブで人に会う約束をしていたので、それに間に合うように帰らなければならないことを知りながら、敢えて、自動車で軽井沢まで送つてくれるように頼み、翌二七日午前一時頃東京を出発した。東京から軽井沢まで約一六〇粁もあり、遅くとも同日午前八時までに横浜に帰らなければならない亡武章にこの間を往復運転させることは無暴に近く、敢えてこれに同乗した亡蓉子らの過失は重大である。特に亡蓉子は、学習院大学時代に自動車同好会に所属し自動車運転の技術をもつており、しかも亡武章よりも年長でありながら、危険な深夜の長距離運転を勧め、かつ同乗して何ら事故防止の措置をとらなかつた。この間の事情に鑑みれば、少くとも五割の過失相殺がなされるべきである。

(二)  被告西郡および同小田の主張

被告小田は、乙車を路肩一杯に寄せて駐車させ、尾灯を点滅させ、さらに積載中の鋼材の先端に電灯をつけていたものであるが、亡武章が前方不注視、速度違反の過失により甲車を乙車に衝突させたものであつて、本件事故は亡武章の一方的過失により発生したもので、被告小田には何らの過失もない。乙車には本件事故と因果関係を有する構造上の欠陥および機能の障害はなかつた。また仮に被告西郡が乙車の運行供用者に当るとしても、同被告は乙車の運行につき何らの過失もなかつた。

四  被告らの主張に対する原告らの答弁

(一)  被告ら主張(一)の事実を否認する。亡蓉子は、亡武章および亡波田野の誘いで無理に乗車させられたものである。

(二)  同(二)のうち、乙車が無欠陥であるとの点は不知、被告小田および同西郡が無過失であるとの主張を争う。

第三証拠関係〔略〕

理由

一  事故の発生

請求原因(一)の事実は、各当事者間に争いがない。

二  被告小田および同西郡の責任

(一)  原告らは、被告西郡が乙車の運行供用者である旨主張するので考えるに、〔証拠略〕によれば、被告西郡が乙車を新車で購入して同被告名義で登録したが、昭和四六年二月頃被告小田の兄である訴外小田安秋に売却して引渡したこと、以後同訴外人が乙車を使用してきたこと、同訴外人は被告西郡に対して代金を完済したが、同訴外人のデイーラーに対する月賦代金が完済されていなかつたため、登録名義は変更されず、そのまま被告西郡名義となつていたこと、が認められ、右認定に反する証拠はない。右事実によれば、被告西郡が本件事故当時乙車を自己のため運行の用に供していたものであるということはできない。

(二)  次に、被告小田の過失について考える。〔証拠略〕によれば、次の事実が認められる。

本件事故現場付近の道路は、高崎方面から長野方面に通ずる幅員八・四米の、中央線で二分された、非市街地にある、平坦な直線道路(国道一八号線)で、路面は、アスフアルトで舗装され、本件事故当時乾燥していた。なお事故現場付近の道路については、交通規制は何らなされていなかつた。

被告小田は、乙車(車幅二・四九米)に長い鉄骨を積んで長野方面に向う途中、燃料が切れたため惰力で乙車を左側に寄せ、本件事故現場の道路左の外側線から乙車左側まで〇・五米の間隔をあけて駐車した。その際、同被告は、乙車の前後各二個の点滅灯を点灯させるとともに、鉄骨の先端には赤い電灯を点灯させていた。

一方、甲車(車幅一・六八米)は、高崎方面から長野方面に向けて進行中、長さ四〇・三米のほぼ直線のスリツプ痕を二条残して乙車の後部ほぼ中央付近に甲車の前面を衝突させて大破した。

以上の事実が認められ、右認定を覆えすに足りる証拠はない。原告らは、被告小田には駐車方法の点で過失があつた旨主張するが、右認定事実によれば、同被告には右の点において何らの過失も認められず、他に同被告の過失を認めるべき事情の立証はない。

三  被告武夫、同良子、同武靖および武輝の責任

(一)  請求原因(二)の1および2の事実は当事者間に争いがない。

(二)  そこで、右被告ら主張の亡蓉子の過失について考える。

まず、亡蓉子が甲車に同乗するに至つた経緯についてみるに、前記当事者間に争いのない本件事故発生の事実、〔証拠略〕によれば、本件事故当日(土曜日)の数日前に軽井沢にある訴外六條祐道所有の別荘から同訴外人のもとに、水道の蛇口を締めるために来てほしいとの電話連絡があり、この話を聞いた亡蓉子とその友人である訴外亡小一原映子とは、この機会に週末を軽井沢で過ごすこととし、本件事故前日の電車で軽井沢へ行く予定にしていたこと、ところが、その後右両名の知人である亡武章から亡蓉子に電話があつた際に、週末を軽井沢で過す話が交わされ、さらにその後訴外亡波田野忠夫から亡小一原に対して電話で、小諸まで用事ができたので、自動車で送つて行く旨の連絡があり、結局、亡波田野の自動車で軽井沢まで行くこととして、亡蓉子らは、本件事故前日の午後一一時頃スナツクに集合する約束をしたこと、ところが約束の時間にスナツクへ行つてみると、亡波田野が飲酒して運転できないため、亡波田野からの依頼でそこに居た亡武章が甲車を運転して行くことになり、亡武章が運転席に、亡波田野が助手席に、亡蓉子と亡小一原が後部座席に乗つて出発したこと、なお、亡武章は、事故当日の午前八時頃仕事のことで横浜で人に会う約束があり、宿泊の用意はしていなかつたが、他の三名は着替え等宿泊の用意をしていたこと、が認められ、右認定を覆えすに足りる証拠はない。被告武夫らは、亡蓉子が亡武章に対し、同人が疲労していたことおよび翌朝横浜で人に会う約束をしていることを知りながら、無理に軽井沢まで送つてほしいと依頼した旨主張するところ、証人宮崎貞司の証言には亡波田野を通じて亡蓉子からか亡小一原からかはわからないが、亡武章に軽井沢まで行つてくれと依頼したとの、右主張にそうかの如き部分もあるが、証人六條祐道の証言をも併わせ考えると、前記のとおり亡武章が本件事故当日の午前八時頃に横浜で人に会う約束をしていた事実を考慮に入れてもなお、亡武章が集合時間にスナツクにいたのが、偶然寄つただけにすぎないのか、亡武章も亡蓉子らとともに軽井沢まで行くことになつていたために集合したのか、さらには亡武章が自動車で行くことを亡蓉子に勧めたのか、いずれとも断じ難く、さらに亡蓉子が亡武章の翌朝の予定を知つていたとの証拠はなく、結局、被告武夫らの右主張事実を認めることはできないものというべきである。

次に右被告らは、亡蓉子が大学時代に自動車同好会に所属し自動車運転の技術を持つていた旨主張するところ、乙第二号証には右主張にそう部分があるが、同第一号証にてらして直ちに措信しがたい。〔証拠略〕によれば、亡蓉子が少くとも運転免許は持つていたのではないかと推測する余地もあるが、〔証拠略〕だけでは未だ右事実を認定することはできず、他に右事実を認めるに足りる証拠はない。

以上認定した事実関係だけでは、被告武夫ら主張の亡蓉子の過失を認めるに由なく、他に亡蓉子に過失があつたことを認めるに足りる事情の立証はない。

四  原告らの損害

(一)  亡蓉子の逸失利益とその相続

1  〔証拠略〕によれば、次の事実が認められ、右認定に反する証拠はない。

(1) 亡蓉子は、昭和二〇年九月二日父を原告松田、母を同湯浅として出生した女子で、母の離婚およびその後の再婚に伴い、親権者を母とし、母の氏を称して成長し、昭和四四年三月学習院大学法学部を卒業した独身者である。

一方、訴外ロイ・ジエームスこと六條祐道は、原告湯浅の夫訴外湯浅俊次には以前世話になつたことがあり、その関係で亡蓉子とも面識を持つていたところ、アメリカ合衆国々籍を持ち主として同国で生活している右湯浅俊次から、日本で生活している原告湯浅と亡蓉子との面倒を見ることを頼まれて、本件事故の一〇数年前から右両名とりわけ亡蓉子の事実上の後見人として面倒を見て来たものである。

(2) 訴外六條は、昭和四三年に訴外前田武彦ら六名のタレントとともに、主としてタレント、アーチスト等のマネージメントを業とする訴外株式会社セブンプロモーシヨンを設立し、司会業とともにその代表取締役をしていたが、昭和四五年暮頃から昭和四六年四月頃にかけて、右訴外前田を初め他の五名のタレントが次々と独立したので、以後独りで右訴外会社を運営して来たところ、会社の名称と実体とが相違することとなつたので、右会社の清算が終了したら新会社を設立して同一の事業を営む考えでいた。そして同訴外人は、昭和四六年六月三〇日の株主総会で、原告湯浅とともに亡蓉子を取締役に選任し、同年七月三一日の株主総会で右訴外会社の解散決議(同年一一月四日登記)をし、昭和四七年四月一日清算を結了し、同月二七日その旨の登記をした。一方、同訴外人は、昭和四六年一一月一〇日発起人を同人ほか原告湯浅、亡蓉子らとして訴外株式会社ロイ・プロモーシヨンを設立し、取締役に原告湯浅および亡蓉子をも加えることとしたが、前記セブンプロモーシヨンの税金問題で清算が結了しないため直ちには設立登記をせず、昭和四七年二月二五日に設立登記を了した。

(3) 亡蓉子は、大学卒業後訴外六條の手伝をして小使銭程度を得ていたが、前記のとおり六名のタレントが独立した昭和四六年三月、四月頃前記セブンプロモーシヨンに入社し、訴外六條の対外折衝等のマネージヤー的業務や秘書的業務、さらには同人の出演の際における身のまわりの世話等付け人的業務を行ない、同年五月から月給として金二〇万円を得ていた。亡蓉子の右業務は、必ずしも毎日一定時間出勤する必要はなく、仕事の都合によつては週一、二回出勤し、あとは電話ですますこともでき、また高令となつても続けることのできる性質のものであつた。

ところで、亡蓉子には、本件事故当時婚約者がいて、昭和四七年五月八日頃には結婚式を挙げようなどと話合つていたが、正式には挙式の日程は決つていなかつた。また、亡蓉子の果していた前記役割の中には、訴外六條のことをよく知つている者でないと十分果せない面もあり、同訴外人としては、亡蓉子が結婚した後も続けてほしいとの希望をもつていたが、その点についての具体的な話合いは未だなされていなかつた。

因みに、前記ロイ・プロモーシヨンにおいて、マネージヤー的業務を行なつている者および付け人的業務を行なつている者の月給は、いずれも金八万円位である。

2  右事実に基づいて考えるに、訴外六條が、本件事故がなければ、引続きセブン・プロモーシヨンおよびロイ・プロモーシヨンで亡蓉子を使つていく意図があつたことは明らかである。しかし、亡蓉子の果していた役割の中には、訴外六條と密接な関係のある亡蓉子において初めて十分に果しえた面があるが、訴外六條が、大学を卒業してからも二年間は亡蓉子を手伝程度にしか使つておらず、また亡蓉子を正式に使うようになつてから本件事故まで半年しか経過していなかつたことを考えると、亡蓉子が他の従業員よりも特に優秀であつたことだけの理由で、入社後間もなくから月給金二〇万円を与えられていたとは考えられない。前記事実からは、むしろ訴外六條が亡蓉子の事実上の後見人たる地位にあつたために、同人を取締役にもし、かつ高額の給与を与えていた面があることが推認される。そうとすると、訴外六條の、結婚後も仕事を続けてほしいとの希望も、それほど強いものであつたとは考えられない。

以上述べた諸事情によれば、亡蓉子は、木件事故に遭遇しなければなお四一年間程度は稼働可能であると推認しうるところ、その逸失利益の事故時の現価を算出するに当つては、本件事故後控え目にみて三年間程度は前記月収を基礎とし、その後三八年間程度は当裁判所に顕著な労働省の昭和四八年賃金構造基本統計調査の女子労働者・産業計・企業規模計・新大卒の全年令平均年収金一二五万九、四〇〇円に昭和四九年の前年に対する増加率三割程度を加算した金額を基礎とし、生活費として五割を控除し、ライプニツツ方式により中間利息を控除して推認するのが相当であると考えられる。以上により、亡蓉子の逸失利益の事故時の現価は金一、五〇〇万円と認める。

3  前記認定事実によれば、原告両名が右逸失利益の二分の一に当る金七五〇万円宛相続したものと認められる。

(二)  慰謝料

前記認定の諸事情に鑑み、慰謝料としては、原告湯浅に対して金二〇〇万円、同松田に対して金一八〇万円が相当であると認める。

五  損害の填補

原告らが自賠責保険から各金二五〇万円の填補を受けたことは当事者間に争いがない。

六  結論

以上述べたところによれば、原告らの本訴請求は、原告湯浅が被告武夫に対し金七〇〇万円、同良子、同武靖および同武輝各自に対し金二三三万三、三三三円、原告松田が被告武夫に対し金六八〇万円、同良子、同武靖および同武輝各自に対し金二二六万六、六六六円ならびに右各金員に対する本件事故発生の日の翌日である昭和四六年一一月二八日から支払ずみまで、民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があるからこれを認容し、右各被告に対するその余の請求および被告西郡、同小田に対する請求はいずれも理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条、九三条、仮執行の宣言につき同法一九六条を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 瀬戸正義)

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